夫婦関係が悪化すると、「夫婦カウンセリングで関係を修復できるかな」という考えに至るかもしれません。しかし「夫婦カウンセリングを利用しても意味がないのでは?」「どうせ効果なんて期待できない…」と、希望と同時に不安に駆られることもあるでしょう。

一方で、夫婦カウンセリングをきっかけに劇的に関係が改善した例も少なくありません。実際にカウンセリングでお互いの価値観を見つめ直し、いまでは付き合いたてのカップルのように毎日一緒にご飯を食べたり、週末には一緒にカフェに行ったりする夫婦もいます。

本記事では、夫婦カウンセリングが「意味がない」「効果がない」といわれる理由をまとめました。最大限に効果のあるカウンセリングを受けるためのポイントも解説しているので、夫婦仲に悩んでいる方はぜひご活用ください。

夫婦カウンセリングとは?重要性や期待できる効果、一般的な料金相場などを解説

監修者 中村小春
公認心理師・臨床心理士

カウンセラーとしての相談件数は、8600件以上。大学院卒業後、教育業界で不登校・虐待に関する案件、発達障害の就労支援や、法人でのメンタルヘルスマネジメントなどの研修を担当。教育機関での経験や自身の不妊治療、出産を経て、パートナーシップの大切さを痛感。現在は、恋愛・夫婦関係改善の専門家・カウンセラーとして活動中。日本心理臨床学会 や東京都公認心理師会 、臨床心理士資格認定協会に所属。

夫婦カウンセリングは意味がない・効果がないと感じる理由

夫婦カウンセリングは意味がない・効果がないと感じる理由をまとめました。

  • 改善することに対して夫婦間に温度差があるから
  • カウンセラーに理解してもらえないから
  • 1回だけではなく長期的にカウンセリングを受け続ける必要があるから
  • もう夫婦関係は良くならないと考えているから

改善することに対して夫婦間に温度差があるから

夫婦間で問題を改善することに対して温度差があると、カウンセリングもうまく進まない可能性もあるでしょう。夫婦カウンセリングは本来、ふたりが一緒に「関係を良くしたい」と考えているからこそ期待できる効果があらわれるからです。

  • 妻側は「子どもに良くない影響を与えるし、夫婦仲を絶対に改善したい」
  • 夫側が「そこまでしなくても、そのうちなんとかなるだろう」

と妻は積極的。夫が消極的だと乖離が生まれ、カウンセリングに行く前の話し合いの段階で仲が余計に拗れてしまいます。カウンセラーから「週に1回は夫婦でじっくり会話する時間を作りましょう」と提案されても、夫側が乗り気でないと話し合いはされず、「やっぱり効果がなかった」と感じてしまうでしょう。

参考となる事例

妻が夫を説得し、連れて行く形で夫婦カウンセリングをスタート。しかし夫のほうが「面倒くさい」と思っていたため、セッションで提案された課題を一切やらず、最終的に「意味なかったね」という結論に。夫婦間で温度差があるかぎり、カウンセリングの本来の価値が発揮されにくいリスクは注意が必要です。

中村小春
公認心理師・臨床心理士

初めは問題意識のある方からお一人でカウンセリングに行かれることもおすすめです。あなたがカウンセリングを受けて表情が変わったり、パートナーに対して寛容になるといった変化を目の当たりにすると、カウンセリングに対して懐疑的だったパートナーもカウンセリングに興味を持ってくれる可能性が高いです。

夫婦カウンセリングに妻だけ・夫だけ参加するのはアリ?

カウンセラーに理解してもらえないから

過去にカウンセリングを受けた際、相談内容を十分に理解してもらえず、主観的なアドバイスばかり受けてしまうと、「結局、夫婦カウンセリングなんて意味ない」と思い込んでしまうでしょう。

カウンセラーがあまりにも“妻寄り”の話をする人で、夫側の主張や悩みをあまり聞いてくれないという事例もあります。夫としては「全然聞いてもらえなかった」と不信感を抱き、その後カウンセリングに誘われても行く気が起きないでしょう。

しかし、カウンセラーによって専門分野やアプローチの仕方、性格は異なります。1度理解してもらえなかったからといって、「意味がなかった」と結論づけるのは早いかもしれません。

もし合わないと感じたら、ほかの専門家を探す選択肢も視野に入れたほうが賢明です。

中村小春
公認心理師・臨床心理士

基本的にカウンセラーは中立であり、ニュートラルであることが原則です。しかしながら、カウンセラーによって個性があり、相性が合わなかったというお話もたまにお聞きします。あまり気負わず、美容院を決めるような感覚で自分に合った雰囲気や、すんなりと言葉が入ってくるカウンセラーさんを選べるといいですね。

1回だけではなく長期的にカウンセリングを受け続ける必要があるから

夫婦関係が長年積み重なってこじれている場合、1~2回のセッションで劇的に変わることは少ない傾向です。大体は半年以上の長い期間をかけて、少しずつ夫婦間のすれ違いを解消し、コミュニケーションの場を整えていかなければいけません。

カウンセリングを1回だけ受けて、効果がないと感じると「やっぱり意味がない」と思うこともあるでしょう。本来なら得られたかもしれない成果を逃してしまうことになります。

中村小春
公認心理師・臨床心理士

いち早く問題を解決したいお気持ちは痛いほど理解できるのですが、長年時間をかけてじわじわとパートナーとの間に積み重なった問題や価値観はそう簡単にはほぐれていかないのが現実です。目安としてそのカウンセラーと四季を過ごすとほとんどの問題は解決しているという場合が多いです。

もう夫婦関係は良くならないと考えているから

もし夫婦のどちらかが「もう関係の修復は不可能」と感じている場合、カウンセリングの提案をしても最初から耳を貸さないかもしれません。

「どうせ話したって何も変わらないよ」と切り捨てられると、夫婦カウンセリングなんて受けたって無駄と感じることもあるでしょう。

あるいは実際にカウンセリングに行ってみても、パートナーが意欲を示さなかったら、「本当に夫婦カウンセリングは意味がない」というイメージがついてしまいます。

カウンセリングが効果的な夫婦の特徴

カウンセリングが効果的な夫婦の特徴をまとめました。

  • カウンセリングに対して受け身な姿勢ではない夫婦
  • すぐ効果は出ないと理解している夫婦
  • 現状を変えたいという気持ちが強い夫婦

カウンセリングに対して受け身な姿勢ではない夫婦

夫婦関係を修復するプロフェッショナルとはいえ、カウンセラーはあくまで支援する側です。

「どうせ相談すればカウンセラーがなんとかしてくれるだろう」と考えていると、カウンセラーの提案を実行に移すモチベーションがなく、現状を変えられません。高いお金を支払いカウンセリングを受けても意味をなさないものになります。

一方で、「夫婦で一緒にこの問題に取り組むんだ」という前向きな意識を夫婦が持っていると、自然と主体的に行動できるようになります。改善に一歩ずつ近づいていくでしょう。

夫婦関係解消のためには、受け身な姿勢ではなく自分たちが主役であることを理解し、カウンセラーからの提案を一つひとつ実行していく必要があります。

カウンセリングが上手くいった夫婦の事例

実際に関係を再構築した夫婦は、お互い「自分たちで頑張ろう」という意識が強く、カウンセラーからの宿題を丁寧にこなし、徐々にすれ違いの解消に成功した。

中村小春
公認心理師・臨床心理士

カウンセラーはあくまで脇役であり、夫婦関係を改善するのはご自身です。カウンセリングに行くだけで、あとはプロがなんとかしてくれるという受け身の姿勢ではなく積極的に問題を解決しようという気持ちが何よりも大切です。

すぐ効果はでないと理解している夫婦

何年も積み重なった夫婦のトラブルを、短期間で完璧に修復するのは非現実的です。

むしろ、「少しずつ変われればいい」という姿勢で、長期的な視点をもってカウンセリングを継続する夫婦ほど成果を得やすい傾向にあります。過剰な期待をせず、焦りによるモチベーションの低下がないからです。

すぐに効果を出そうとする夫婦は、話し合ったり、お互いを理解しあったりするタイミングを間違えやすくなります。それが裏目にでて、余計関係が悪化してしまうこともあるでしょう。

夫婦カウンセリングで成功するためには、お金を払っても「すぐに効果はでない」と理解することが重要です。

カウンセリングが上手くいった夫婦の事例

「3回通ったけど大きな変化がない」と感じたものの、4回、6回と続けていくうちに、お互いの価値観や好きな想いを再認識。パートナーに対する視点や思考が変化し、夫婦関係の再構築に成功した。

現状を変えたいという気持ちが強い夫婦

カウンセリングが機能するためには、夫婦双方に「今のままでは駄目だ」という強い動機づけが必要です。

離婚一歩手前で、「最後のチャンスとして試そう」と決意したEさん夫婦は、最初のセッションから夫婦ともに真剣な姿勢で臨み、カウンセラーのアドバイスを積極的に取り入れました。

結果的に、二人とも関係修復に向けた行動を継続し、離婚寸前から立て直せたケースもあります。そうした意欲こそが成功への鍵です。

中村小春
公認心理師・臨床心理士

「現状を変えたい」という気持ちは夫婦カウンセリングを行い、関係改善していくための1番のエネルギーです。諦めずに積極的にカウンセリングに臨んでくださるご夫婦は効果がとても早いです。

夫婦カウンセリングを意味あるものにするためのポイント

夫婦カウンセリングを意味あるものにするためには、以下のポイントが重要です。

ポイント内容
なるべく早めに行動する問題が慢性化するほど難易度が上がる傾向にあります。小さな違和感を感じた段階で、カウンセリングを検討するのが理想です。
気持ちを曝け出し、心を開放するカウンセラーに本音を伝えることで、夫婦関係の根本原因が浮き彫りになります。取り繕わず率直に話すことが大切です。
カウンセラーを信用・信頼するカウンセリングを利用するなら、カウンセラーをとことんまで信用・信頼することが重要です。心に壁を作っていては、カウンセリングの最大限の効果は得られないでしょう。
自己理解を大事にする「自分は本当はどうしたいのか」という自分自身の理解を深めることも大切。まずは自分を理解することが、相手の理解を深めることにつながります。
忍耐力を持つ数回のカウンセリングセッションで、劇的に夫婦関係が変わるのはレアケースです。コツコツカウンセラーやパートナーと対話を行い、忍耐力を持って臨みましょう。

カウンセリングの効果は、カウンセラーの実績や得意分野で大きく変化します。しかし本当に意味のあるものにするには、上記のとおり相談者のマインドセットも非常に重要です。

詳細は下記の記事をご活用ください。

【8000人見てわかった】カウンセリングが意味ない人の特徴7選

夫婦カウンセリングを利用するメリット

「夫婦カウンセリングなんて意味がない」と言われがちな反面、正しく活用すれば大きな恩恵を受けられます。

  • 夫婦間の問題を発見・整理できる
  • 第三者の介入により冷静かつ建設的な話し合いができる
  • 安心感を得られる

夫婦間の問題を発見・整理できる

夫婦双方の主張が噛み合わないと、いつの間にか感情的になってしまい、話し合いが進まないこともあるでしょう。パートナーにイライラして、「結局何を話したかったんだろう」「いつもこうで嫌になる」と、自己肯定感が下がる原因となります。

夫婦カウンセリングのカウンセラーであれば、双方の意見を客観的に分析し、夫婦間の問題を冷静に発見・整理します。その結果、相互の理解が円滑に進み、夫婦関係の修復に近づきやすくなるでしょう。

第三者の介入により冷静かつ建設的な話し合いができる

感情が高ぶりやすい夫婦喧嘩では、ほとんどが平行線になりやすいものです。

夫婦カウンセリングにおいては、カウンセラーが進行役・仲介役となって、「いまは妻の意見を聞きましょう」「次は夫の考えを整理しましょう」という形で、話し合う場のコントロールをします。

お互い感情的にならず、建設的な話し合いができる環境を実現。互いに冷静な状態で、いま考えていることがわかるのが大きなメリットです。

安心感を得られる

夫婦の悩みは、親や友人に相談しにくいテーマかもしれません。

しかしカウンセラーには守秘義務があり、どのような状況でも受け止めます。誰にも言えない悩みを打ち明けることで、安心感を得られるのは大きなメリットでしょう。

夫婦の問題により寝不足だった方も、カウンセラーに悩みを打ち明けたことでその夜はぐっすり眠れたという事例もあります。

中村小春
公認心理師・臨床心理士

風邪を引いたら内科を受診するように、、改善したいことがあるのであれば早い段階で専門家に相談するのが改善への近道です。お子さんがいるのであれば夫婦関係はお子さんの性格や学力、人間関係への影響がとても大きいです。残りの人生、1日でも多く夫婦笑顔で過ごす日をふやしませんか?

まとめ

本記事では、夫婦カウンセリングが意味がない・効果がないと言われる理由を解説しました。

夫婦カウンセリングが「意味がない」「効果がない」と感じられてしまう背景には、夫婦間の温度差による問題、カウンセラーとの相性問題など、さまざまな理由があります。

しかし、お互いに関係修復の必要性を理解し、相性のよいカウンセラーを見つけて、継続的にセッションを受ける努力しようとすれば、大きな効果を得られる可能性が高い傾向です。

そのためには、早めに行動に移すことが重要。早期にカウンセラーに相談し、心を開いて素直に気持ちを伝えて、現状の課題を整理するようにしましょう。

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