日本性科学会によると、セックスレスとは、特殊な事情が認められないにも関わらず、カップル・夫婦の合意したセクシャルコンタクトが1ヶ月以上ない状態のことです。

ふうふの相談窓口の見解では、パートナーとのセックスがないことにより、辛く寂しく、悩みを抱えている時点でセックスレスに陥っていると考えています。大事なのは定義ではなく、あなたの気持ちです。

そしてこの記事にアクセスしてきた方の中には、「セックスレスになった原因・きっかけを知りたい」「この先どうしたらいいかアドバイスが欲しい」と、不安を抱える方もいるでしょう。

本記事では、セックスレスの原因とレスになったらやるべきことを現役の夫婦カウンセラーが解説します。

監修者 中村小春
公認心理師・臨床心理士

カウンセラーとしての相談件数は、8600件以上。大学院卒業後、教育業界で不登校・虐待に関する案件、発達障害の就労支援や、法人でのメンタルヘルスマネジメントなどの研修を担当。教育機関での経験や自身の不妊治療、出産を経て、パートナーシップの大切さを痛感。現在は、恋愛・夫婦関係改善の専門家・カウンセラーとして活動中。日本心理臨床学会 や東京都公認心理師会 、臨床心理士資格認定協会に所属。

執筆者
ふうふの相談窓口

ふうふのマガジン編集部では、公認心理師・臨床心理士の監修のもと、夫婦関係・セックスレス・に関するテーマで情報発信をしています。SEOディレクターとして1,000本以上の記事を執筆してきた経験をもとに、見やすさ、わかりやすさを心掛けています。

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    セックスレスを引き起こす原因

    100人以上を対象としたアンケート調査のデータをもとに、セックスレスを引き起こす原因をまとめました。

    • 育児や仕事の疲れ
    • 不平等な家事分担
    • 不貞行為・浮気・不倫の発覚
    • EDや勃起不全
    • 単身赴任などにより遠距離で生活
    • 生活のすれ違いによるコミュニケーション不足
    • 雑で乱暴なセックス
    • 見た目の変化
    • 寝室でのセックスを阻害するものを持ち込む
    • ホルモンバランスの変化
    • パワハラやモラハラ

    【どうしたらいい】セックスレスの解消法を専門家が解説|20代から50代にも推奨

    育児や仕事の疲れ

    育児や仕事の疲れは、セックスレスを引き起こす大きな要因のひとつです。

    仕事や子育てに追われ、十分な休息やリラックスが取れないと、肉体的にも精神的にも疲労が蓄積されます。とくに女性は、産後の身体的・精神的なダメージが大きく、普段よりも疲労が溜まりやすい傾向にあります。

    育児や仕事だけで精一杯になり、ご飯を食べたらすぐに眠気が襲い、いつの間にか寝てしまっていたこともしばしばです。

    その結果、ハグやキスなどのスキンシップを楽しむ余裕がなくなり、セックスレス状態へと進行します。

    お互いに仕事が非常に忙しくなり、毎日疲れて夜はすぐに寝てしまうようになったこと。また、その期間が長く続いてセックスレスに慣れてしまった

    30代女性

    子育てや家事、仕事もあって毎日疲れ果てて、精神的にも余裕がなくなったからです。嫌いになった訳では無いですが、自然と避けたくなりました。

    50代女性

    仕事が忙しくお互いに疲れてしまい寝落ちしてしまうパターンが多かったです。次の日が仕事の時は早く寝たい気持ち、休日は寝溜めしたい気持ちに負けてしまった

    30代女性(レスになって4年目)
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    人はリラックスすると副交感神経が優位になり、副交感神経と性欲は大きく関係しています。やらなくてはいけないことが常にあったり、責任の重い仕事をしていると常に交感神経が優位になりがちです。最近そういった気持ちにならないなと感じたら、お風呂にゆっくり入る、家で一緒に映画を見るといったことを生活の中に取り入れて、意識的にリラックスする時間を持つようにしてみてください。

    不平等な家事分担

    家庭内の家事や育児をほとんどパートナーに任せっきりになっていませんか。

    そのような状態が続く限り、パートナーの中では不満やストレスが蓄積している可能性が高い傾向です。心の距離が離れてしまい、相手は拒絶する気持ちを持ってしまいます。

    「一緒に生活しているのになんで私だけが家事をしているの?」「この人は協力する気持ちがないんだ…」と思われてしまっては、セックスどころかハグやキスなどのスキンシップも許してもらえません。

    いずれはあなたの存在に対して嫌悪感を抱くようになり、パートナー側からセックスを拒否するように。不平等な家事分担は、セックスレスはもちろん、夫婦関係に亀裂を生み出す引き金となります。

    子育てをしない。家に帰って来ても自分の好きな事ばかりする。対して子育てもしてない癖に子供に理想を押し付け叱る。学校の行事も参加しない。全部私がやって来た。実家に帰れば子育てをろくにしてない、更に学校の高校のお金や受験、塾代全て私の親が出してるのに当たり前と思っている。

    30代女性(レスになって5年目)

    旦那が子育てに協力的じゃない。全て私任せ。旦那の匂いも無理。役に立たない。子育てをしてないのに、子供を叱る時は偉そうで腹が立つ!

    30代女性(レスになって5年目)
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    どうしても一緒に生活をしていると家事や育児に対してお互いに不満が出てきてしまいます。相手に対する不満や怒りが溜まったままの状態だと、安心して心と身体を許すという行為であるセックスは難しくなります。まずはこの部分を解決することで相手との間にしこりがない状態にすることがセックスレス解消への近道です。

    不貞行為・浮気・不倫の発覚

    不貞行為、浮気、不倫の発覚は、夫婦間の信頼関係を根底から揺るがし、セックスレスを引き起こす深刻な原因となります。

    とくに女性側はパートナーが不貞行為を行なった事実を知ってしまうと、「汚れている」「もう触りたくない」「近寄ってほしくない」と不快感を持つようになります。そして裏切られたことによる悲しみや怒りから、パートナーの性欲がなくなることも珍しくありません。

    私の浮気が妻にバレたから。若い浮気相手とセックスをした数時間後に、妻ともエッチをしようと思ったのだが、性器に口紅が付いているのを、妻に見つかった。

    50代男性

    旦那が浮気を何回もするためだんだん気持ち悪く感じてきた

    30代女性(レスになって3年目)
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    基本的にセックスは1対1で行うものです。そこに浮気相手という他者が入り込むことで、“自分以外でもいいんだ”、“自分より他の人がいいんだ”といった感情が沸き起こり、どうしても自分以外とセックスをした相手と同じ行為をすることが難しくなります。これは当たり前の感情です。それでもそのパートナーとの関係修復を望むのであれば、一度カウンセリングを受け、自分自身と向き合うことをお勧めします。

    EDや勃起不全

    EDや勃起不全は、夫婦間のセックスレスの主要な原因のひとつです。

    パートナーが望むセックスに十分応えられず、男性側が自信を失い、精神的なプレッシャーからセックスレスになってしまうことは少なくありません。

    「今回もできなかったらどうしよう」「どうせ勃たないからやらなくてもいいかな」とセックスを避けるようになると、パートナーに打ち明けられないままレスへと進行します。

    EDや勃起不全などの悩みは繊細で信頼しているパートナーにも話しづらい内容です。男性側から誘われなくなった場合、このような原因が関係しているかもしれません。

    何回か途中で夫が萎えてしまって中断することがあり段々とお互いに気まずくなった。諦めて現在はもう完全にセックスレスです。

    40代女性(レスになって6年目)
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    実はこの問題はセックスレスでお悩みの夫婦にとてもよくある問題です。男性にとって、勃起や射精といった行為は精神的に男性性を満たしたり、自尊感情を高めるための行為として大きな役割を果たしています。勃起しないことで相手を傷付け悲しませてしまうことが分かっているからこそ、そもそもそういった行為はしないほうがいいと判断する男性も少なくありません。しかし、セックスは二人でするもの。今は処方箋でもらえる薬もあります。お互いがどう思っているのかをしっかりと話し合い二人で解決する必要があります。

    単身赴任などにより遠距離で生活

    単身赴任や子どもの教育のための引越しなどによる遠距離生活で、セックスレスが進行するケースもあります。

    遠距離生活が続くと、どれだけ信頼している相手でも心と体の距離が広がることに。久々にパートナーと会っても、「どうやってセックスしてたっけ?」「なんだかするのは恥ずかしい」という感情から、セックスを避けるようになるケースがあります。

    つまり自然なスキンシップを忘れてしまうわけです。珍しい事例ですが、単身赴任がセックスレスの原因となる場合もあります。

    地元(進学予定の)中学校にサッカー部がなく、夫と別居してサッカー部のある中学校に通わせることになったから。

    40代女性

    結婚2年後に単身赴任になり、お互い恥ずかしさが出てしまって見えない壁みたいなものができてしまったから。

    40代男性
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    月に1回しか会えない、など会えるタイミングが少ないとそういった雰囲気にもなりにくいですよね。しかし、考えようによっては夫婦関係が新鮮に保たれ、お互いを男女を意識し合えるようになる可能性も大きいです。環境を変えるのは難しいですが、お互いの意識を変えることで、グッと夫婦関係が良くなることもありますよ。

    生活のすれ違いによるコミュニケーション不足

    親密で深い夫婦仲を築くためには、日常生活におけるコミュニケーションが欠かせません。

    しかし仕事の勤務時間が変わったり、育児のために寝室を分けたりすることで、生活リズムがすれ違い会話する機会が減っている方もいるでしょう。そうなると、いずれセックスすることもなくなり、いつの間にかレスになってたと後から気づくこともあります。

    「コミュニケーションが不足する=レスが進行している」サインといっても過言ではありません。「仲はいい自信はあるけど、最近夫婦で会話していない」という方は、コミュニケーション不足が原因でセックスレスになっている可能性があるでしょう。

    同じ職場に勤めていた妻が転職してしまい、生活リズムや時間帯が合わなくなってしまったことが最大の原因です。

    30代男性

    寝室が別れたから。

    60代男性(レスになって15年目)

    付き合っていた彼氏と、生活のすれ違いから、レスになりました。6ヶ月行為してないことに気付きました。

    40代女性(レスになって1年目)
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    ”夫婦のセックスは朝起きた時から始まっている”と言われるほど、日々のコミュニケーションはセックスレスにならないために大切なことです。最近あまり話せていないなと感じたら、まずは「おはよう」や「ありがとう」といった言葉から始めてみるのもいいかもしれません。

    雑で乱暴なセックス

    自分よがりな雑で乱暴なセックスは、セックスレス状態を一気に進行させる原因となります。

    「自分は相手が嫌がることをしていない」と思っていても、女性側からすると痛くて辛い思いをしているかもしれません。大好きなあなたには素直な気持ちを伝えられず、セックスを我慢している可能性もあります。

    実際に「夫とのセックス中に早く出して終わってほしいとずっと考えています」と、気持ちを吐き出す女性も少なくありません。結果、セックスを拒否するようになってしまったという事例があります。

    夫の触り方が乱暴で痛かった事がトラウマになってしまい、誘われるたびに嫌な気持ちになってしまった。

    30代女性

    パートナーとの体の相性が悪く、不快が我慢できなくなったから。

    30代女性(レスになって10年目)
    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    セックスの最中や事後に「もっとこうして欲しい」と言うことはとても勇気が必要ですよね。こちらはそんなつもりで言っていないのに、怒ったり悲しんだりされてしまった経験がある人もいるかもしれません。どうやったら上手に伝えられるのかを一緒に考えたり、誤解なく伝えられるのが夫婦カウンセリングのメリットです。

    見た目の変化

    見た目の変化は、夫婦間の魅力を低下させ、セックスレスの一因となることがあります。

    とくに男性サイドは、性欲の向上に女性のスタイルや年齢が関係しています。結婚したばかりの頃はウエストも細く、綺麗な肌に惹かれていたけど、今は30キロ太ってしまったという状況だと、性的に見られていない可能性も一つです。

    もちろん逆も然りです。付き合っていた頃は筋肉がしっかりついていて、清潔感にあふれていたのに、結婚生活10年経った今はボヨボヨで身体中ムダ毛だらけでは、セックスしたい気持ちが出てこないでしょう。

    男として見れない、と旦那に言いました。

    30代女性(レスになって3年目)

    寝室でのセックスを阻害するものを持ち込む

    寝室は夫婦関係をより親密にするための空間です。恋愛映画を一緒に見ることで、セックスレス夫婦への熱量が高まります。しかしスマホや漫画など、個々で楽しむアイテムがあるとセックス・スキンシップなど自然な愛情表現が阻まれます。

    たとえば、パートナーが常にスマホを手放さず漫画に没頭していると寂しさや不満が出てきますよね。「なんでスマホばかり触っているの?」と声をかけようにも、嫌われたくない気持ちから勇気が出ない方もいるでしょう。

    このような状態が続き、セックスがないレスの関係性になってしまうこともあります。つまり2人の空間なのに、スマホや漫画が原因で個々の空間になってしまうわけです。

    ホルモンバランスの変化

    男女ともに、ホルモンバランスの変化はセックスレスの原因となり得ます。

    男性と同じように、女性も加齢が進むことで女性ホルモンが減少します。「女の子は年々制欲が強くなっていく」という噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、男性と同じように年を取れば取るほど減っていくものです。

    また産後のレスが思い当たる方は、エストロゲンやプロゲステロン、プロラクチンの減少が影響しているかもしれません。プロラクチンは性欲を抑える機能があり、レスを進行させてしまいます。

    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    ホルモンは性欲に大きく関係しています。食事や生活習慣などでも変化させることはできますし、考え方や、認知を変えていくことでストレスが減り、ホルモンバランスが整うこともあります。しょうがないと諦めずに様々な方法を試してみて欲しいです。

    パワハラやモラハラ

    パワハラやモラハラは、相手の心身ともに追い詰め、セックスをしたい気持ちをなくす行為です。

    たとえば、パートナーから日常的に暴言や過剰な要求を受けると、心の余裕が失われ、セックスへの関心も低下。こうした精神的圧力は、夫婦の信頼関係を破壊し、セックスレスの状態を進行させます。

    妻からのモラハラが酷く、とてもじゃないですが、そのような雰囲気にはなれない。

    30代男性(レスになって4年目)

    セックスレスの解消は原因の分析と信頼関係の再構築から始めよう

    セックスレスは、夫婦間の信頼関係の崩壊やタイミングのずれから生じる場合が多い傾向です。

    忙しさから2人の時間が合わない場合のセックスレスは、ラブホテルを利用するなど2人だけの時間を作れば改善することもあります。しかし、不公平な家事分担や雑なコミュニケーションによる問題は、パートナーに対する嫌悪感や不信感でセックスレスが起こります。

    まずは夫婦で対話を重ね、信頼関係を再構築することが解消につながるきっかけの第一歩です。

    50代夫婦がレスを解消できたきっかけは?5つの事例をもとに紹介

    【どうしたらいい】セックスレスの解消法を専門家が解説|20代から50代にも推奨

    とはいえ、セックスレスを解消しようにも、主観的な分析では問題を見つけようにありません。もし解消に不安があるなら、専門家に相談することをおすすめします。

    ふうふの相談窓口では、セックスレスの問題に詳しいカウンセラーがあなたの悩みに寄り添い、今後どうしたら満足できるのかを心から引き出します。夫婦で円滑にコミュニケーションが取れるよう、夫婦2人でのカウンセリングを実施していますので、ぜひご活用ください。

    夫婦カウンセラーがセックスレスの悩みに回答

    セックスレスに関する悩みに対して現役の夫婦カウンセラーが回答します。

    • カップルがレスになったら別れるしかない?
    • 妻・夫からセックスを拒否されるときはどうしたらいい?
    • セックスレスは何ヶ月から?

    カップルがレスになったら別れるしかない?

    セックスレスになったからといって、別れる必要はありません。

    もしあなたが辛いなら別ですが、パートナーのことが好きで、関係を修復したいという気持ちがあるなら、対策を打ってから未来を考えてもよいでしょう。

    中村小春
    公認心理師・臨床心理士

    セックスレスはカップルや夫婦関係において大きな問題ですが、なってしまったから終わり、と言う訳でもありません。その時の状況や、相手の心理的なトラウマや価値観などでレスになっていることもあります。関係の修復をお望みでしたら一度夫婦カウンセリングなどを試してみてからでも遅くないと思いますよ。

    妻・夫からセックスを拒否されるときはどうしたらいい?

    まずはなぜセックスを拒否されているのか考えるのところ始めましょう。体型なのか、それともホルモンバランスなのか、拒否されている理由によって対策は異なります。

    相手の立場に立ってみて、なぜセックスをしたくないのか本気で向き合ってみてください。

    なぜセックスレスに?夫が拒否する原因は?旦那が求めてこない理由や改善策を解説

    なぜ妻が拒否する?セックスレスで辛い時の改善策4つ【離婚or諦めるしかない?】

    セックスレスは何ヶ月から?

    日本性科学会にて、特殊な事情が認められないにも関わらず、カップル・夫婦の合意したセクシャルコンタクトが1ヶ月以上ない状態をセックスレスと定義されています。

    しかしパートナーとセックスできないことで辛いのであれば、期間に関係なくセックスレスの状態といえます。解消したい場合は、なるべく早期解決を目指すのがおすすめです。